近視抑制治療について

なぜ近視抑制治療が必要なのか

2050年には世界人口の50%が近視になり、その10%が強度近視(-6.00D以上)に達するという統計があります。

一旦、強度近視になってしまった眼は、その後、レーシック手術などをして裸眼の視力が回復したとしても、将来、緑内障、網膜剥離、近視性黄斑症の病気を起こす頻度が高くなります。

よって、近視進行のリスクの高い症例は、より早い時期(8~10歳位)に近視抑制治療を開始することが世界的な常識となっております。

また、それ以降の年齢でも、近視抑制治療をした群は何もしなかった群よりも近視が抑えられたと報告されています。

近視進行のメカニズム

多くは眼球が楕円形に伸びてしまう(眼軸長が長くなる)ことが原因です。これを抑えることが近視抑制の目的になります。

眼軸長が伸びる理論として、以下の理論があります。

1)調節ラグ理論:近見時、調節の負荷のために黄斑部(網膜の中心)にピントが合わないため

2)軸外収差理論:一般の眼鏡やコンタクトレンズにより黄斑部より周辺のボケが生じてしまうため

近視進行に関与する因子

1) 近業作業: 本・マンガ・雑誌を読む。ゲーム・動画をタブレット端末で見ること。特に距離20~30cmで連続30分以上見続けること

2) 遺 伝 : 両親のいずれかが強度近視の場合は発症リスクが高い

3) 屋外活動: 太陽光に含まれるバイオレット光により、近視を抑制する

お子様の視機能治療

当院ではお子様の斜視・弱視の視機能アップのために、経験豊富な視能訓練士がカウンセリングをします。斜視・弱視を早期に発見し、早めの治療がおこなえるよう、幼稚園などの検診にも視能訓練士が検査に同行しております。斜視・弱視はすぐに治るものではなく、3~6か月毎、定期的に視力や眼位を検査していく必要があります。ご家族も根気強く治療を続けていく必要があります。
また、低学年の近視抑制治療にも力を入れております。

当院で行っている近視抑制治療

  1. マイオピン(低濃度アトロピン)点眼薬
  2. オルソケラトロジー
  3. 近視抑制効果のあるコンタクトレンズ
お子様の視機能治療

その他注意点

1)タブレット端末、読書、勉強は30cm以上離してみる。30分間近くを見たら、少なくとも2分間(できれば10分間)は遠方を見る

2)1日2時間以上は太陽光を浴びる(1000Lux以上)。室内の照度は1000Lux以下だが、屋外では屋根の下でも木陰でも1000Lux以上になる

3)近視抑制治療法(現在、日本で可能な治療法)

  1. マイオピン(低濃度アトロピン)点眼
  2. オルソケラトロジー
  3. 遠近両用コンタクトレンズ

当院では、定期的に近視の強さを測定し、進行のスピードが一定以上になった時に近視抑制治療を開始いたします。

近視が進行しないように、ご一緒にがんばりましょう。